昔の職場での先輩の教え。

「自分の肌に近い順に金をかけろ」

 その言葉がずっと心に残っていて、PCはマウスとキーボードにこだわるし、ゲーム機はコントローラーにこだわるし、ファッションは肌着にこだわります。
 そうしてみると驚くほど生活が快適になるのです。
 もし何かを選んで買う際に迷ったら、どっちが自分の肌に近いかで優先度を決めてみてはどうでしょう?

 となると文房具では何が肌に近いかと言うと、もちろんペンですよね。
 このブログでも今までに買ったペンをいくつか紹介してきました。
 今回はそれらの中から買って後悔しなかったボールペンを厳選して紹介してみたいと思います。
 自分は現在は万年筆をメインにしているのですが、それでも万年筆に置き換えられなくてペンケースに生き残った、手放せないボールペン達です。

パーカー IM
パーカー  IM
 ジョッターと並ぶ、パーカーの廉価モデルです。ちなみにこれは旧タイプ。
 レジェンドでありロマンであるジョッターももちろん良いボールペンです。私も持ってます。新型のコアラインで凄く良くなりました。
 しかし実用として常用で使うことを考えた場合、このIMの方が長さ太さ重さバランスはベストだと思います。
 と言うかこれが基本すぎて、他のメーカーはこのIMをパクるか、逆に似ないように無理して歪んでしまうかになっているような気がします。

 で、私はこれに以前に紹介したイージーフローを入れて使っています。
 イージーフローの滑らかさにこのIMの軸の重みがマッチして、奇跡の書き心地になりました。


カランダッシュ 849
カランダッシュ 849
 これに入っているゴリアットと名のついたリフィルが素晴らしすぎるのです。
 恐らくジェットストリームに慣れた人が使ったら、ただの硬くて重い旧油性なボールペンに思われるかも知れません。
 しかし、それは書き方が違うのですよ。
 ゴリアットはインクフローがめちゃくちゃ安定していて、軽く持って力をあまりかけずに書いても掠れたりボタが出たりしません。
 例えばジェットストリームは筆圧をかけずに書くと、ボールの回転によって流れ出るインクの量が紙に乗る量より多くなり、余った分が表面張力の限界に達すると紙にボタっと落ちて汚くなります。
 その点、ゴリアットは6本のパイプによってインクフローをコントロールしているので、どんな書き方をしてもボタが出る事はほとんどありません。
 ジェットストリームではボタや掠れがひどくなるくらいの筆圧で書いても、ゴリアットではしっかりと追従してくれます。
 というか、ある程度は筆圧で線幅のコントロールまで出来てしまいます。
 また弱筆圧で書くとジェストは滑らかすぎるが故にペンが滑ってしまい、線を上手くコントロール出来ず綺麗な字が書けません。
 ツルツル滑る氷の上では上手く歩くことが出来ないのと一緒です。
 総合してみると、ジェットストリームは高い筆圧で紙に押し付けながら書く際に丁度よく滑るように作ってあるのでしょう。
 これは子供の頃から鉛筆やシャーペンを使って筆圧が無駄に高く育ってきた日本人向けなんだと思います。
 しかし万年筆やローラーボールで筆圧が要らないペンに慣れてしまうと、ジェットストリームが使いにくくて仕方ありません。
 その点、ゴリアットは筆圧が弱くてもボタが落ちず無駄に滑らず書きやすいのです。

 849はカランダッシュの中では廉価版で、人によっては細すぎたり短かすぎたりするようですが、私の手には合っているようです。
 あと何気に良いのが、ノック式なのにノックの音がとても小さい事です。
 ボールペンはノック式が一番便利なのですが、大抵はノックをするとカチッと目立つ音がして、静かな会議中やお客様との商談中などでは迷惑になる事があります。
 それを懸念して、ノック式ではないキャップ式やツイスト式のボールペンを選ぶビジネスマンも少なくありません。
 それがこの849ではノック音がとても小さいので迷惑になりません。


三菱鉛筆 ピュアモルト プレミアム
ピュアモルトプレミアム
 ウイスキー樽の廃材を利用して作られたピュアモルトシリーズの、ちょっとお高いバージョンです。
 っつっても1000円強程度の値段ですが。
 これは何が良いのかと言うと、リフィルに加圧タイプのパワータンクが使えることです。
 前回に書いた別記事でも詳しく書いてますので、良ければそちらも見てって下さい。
 ただのシャレオツなペンかと思わせて実は機能性重視のペンなので、なかなか所有欲を満たしてくれます。


ゼブラ SL-F1 mini
ゼブラ SL-F1 mini
 普段は小さくコンパクトなのだけど、書く時にはスッと伸ばせるボールペンです。
 こういうギミック重視のペンって大抵はプラ製のオモチャっぽいチャチな作りになったりするのですが、このSL-F1 miniは金属製でしっかりした作りになっています。
 これも遥か昔に記事にしてましたね。
 単純に便利なだけでなくモノとしても良く出来ているので、これをポケットに忍ばせていると所有欲と安心感が満たされます。
 自分はいつも財布などに入れていたのですが、気がつくと何本か無くなってるんですよね。
 誰かが借りパクしてしまったんでしょうか。本当に良いペンなのでさもありなん。
 定価が一本300円なので懐はあまり痛まないのですが、最近まで廃番になってて困りました。
 今は限定で復刻しているようなので、興味を持たれたらまた無くなる前に是非。


パイロット フリクションボールノックビズ
フリクションボールノックビズ
 以前にも書いた、フリクションのビジネス用モデルです。
 この軸が本当に自分の手に合っているのでお気に入りです。
 ただ、実用として常用しているフリクションは多色ペンだけで、このビズは最近は使っていませんけどね。
 それでも買って良かったと感じるし、全く後悔はしていません。


パーカー 5th IMプレミアム
5th IM
 以前にも書いた、パーカーの5thです。
 厳密にはボールペンではありませんが、万年筆ではないものって事で同列に語ります。
 これはもう一言で説明がつきます。
「持ってるだけで凄く落ち着く!」
 万年筆より書き心地が良く、万年筆よりメンテが楽で、万年筆並みに高級感がある。
 メインに万年筆を使う人にとってはそれを補完するサブウェポンとして最高に信頼できる存在だと思います。
 万年筆に劣る点としては、専用リフィルが高価なのでコストパフォーマンスが低いって事なのですが、サイドアーム的にそう頻繁に使うものでもないので運用次第で不便ではなくなると思います
 あまりにも気に入ってしまったのでやっぱりインジェニュイティが欲しくなるわけですが、それじゃメイン万年筆より高くなってしまうのが考えものなんですよね。



 と、ここまで。
 以上が私の思う「買って後悔しなかった」ボールペンです。
 そりゃー世の中には「買って損はしない」ってペンはいくらでもあります。
 でも「損はしないけど得もしない」って程度で、有れば嬉しいけど無くても別にいっかな?って感じですよね。
 その点、上記で挙げたものは、もう買う前の「持っていなかった自分には戻れない」ペンとなっています。
 メインに万年筆を使うような人間のサブ用途というニッチなラインナップかも知れませんが、それでもちょっと欲しいかもと思われたら、勢いで買ってしまっても絶対に後悔はしませんよ。
 この私が自信を持ってオススメします。他人を手放しで褒めるなんて滅多に無いこの私が。

 まあ、世の中にはもっと素晴らしいペンだっていくらでもあると思うので、そのうちまたそういうのに巡り合ったら更新していきます。