以前に紹介した、ボルギーニのV36という万年筆。
V36

 これがあまりにも使い心地が良すぎたのです。
 持ちやすくて、書きやすくて、シャレオツで、安い。
 それで愛用したかったのですが、やはり以前のエントリでも指摘した軸の塗装がボロボロになる問題がどうしても気になってしまいました。
 いくら安くたって、イタリア製でなかなか日本に入ってこないものはおいそれと買い替えられません。
 ならばと、似たようなラインで「日本で手に入りやすい」万年筆をずっと探していました。

 条件提示。

・安いこと
 お高くて凄く良い万年筆はもう何本か持っているので、そうではない、とにかく安くて普段使い出来る万年筆が欲しいのです。

・デザインが良いこと
 ただ安いだけなら中華やダイソーで充分です。でも中華万は妙に古めかしくて琴線に触れません。
 万年筆は持っていて気分が上がるってのも大事な要素なのでデザインは重要です。

・ヨーロッパ標準規格
 V36の何が便利かって、ヨーロッパ標準規格なのでその辺の適当なカートリッジやコンバーターが刺せるって事でした。
 国産のような独自規格はそれだけを使っている分にはあまり気にならないけれど、やはり共通規格の便利さはじわじわと来ます。

・ニブはシュミットか相応以上のもので
 書き心地はとりあえずシュミット並みにあれば良し。
 つかそれよりも粗悪な万年筆って最近はめっきり見ませんけど。


 こうやって条件を列挙してみたら、それにピッタリな万年筆が存在することを思い出しました。
 ・・・いや、まあ、タイトルがそれなんですけどね。

無印良品 アルミ丸軸万年筆
アルミ丸軸万年筆

 見ての通り無印良品が販売する万年筆で、無印らしくアルミ削り出しのようなシンプルなデザインです。
 シュミット製のニブがついている事と、交換用のインクカートリッジがオーストリア製な事から、おそらくOHTOのOEMだと思われます。
 ただOHTO製品のカタログにはこれに類似するモデルが存在しないので、無印からの特注で作っているんでしょうかね。

 全長はV36よりも1cmほど長いですが、それはただV36が短いだけで、ペンとしては普通な長さ。
 デザイン的にはローレットが彫ってあるのが目を引きます。
 万年筆にローレットなんてあまり見た事ありません。無骨になっちゃいますから。
 これはまあ、ただのデザインですよね。
 ローレットってのは本来は滑り止めの役割をするものですが、この万年筆に関しては、ローレットよりもマットなアルミのままの方がずっと滑りません。

 もう一つ特徴的なデザインとして、キャップが軸の上に被さるのではなく、キャップの一部が軸内部に潜り込む構造になっています。
ペンのみぞ知る
 尻にポストする場合も、軸の内径にはめ込む形になります。
 これはデザインとしては面白いのですが、コンバーターを付けてインクを吸う際に、このキャップがはまる隙間にインクを漬けないように気をつけなければいけません。
 でないと隙間にインクが入り込んでキャップが汚れて手に付いてしまいます。
 一応手持ちのヨーロッパ標準のコンバーターは入りましたが、恐らく設計段階でコンバーターを使うことは想定されていないのでしょう。
 そこがちょっとストレスになって面倒かな。

 ということで、カートリッジは付属していたけど黒インクはあまり好きじゃないので、今回はエルバンのカートリッジで使ってみる事にします。
 色は基本のヴィオレパンセ。
ヴィオレパンセ
 書き始めは赤っぽい紫なのに、時間が経つと青っぽい紫に変わる不思議なインクです。
 以前はコレが義務教育の指定インクだったなんて、やっぱフランスはオシャレだわ。
 まあこれも延々と語れるくらい奥の深いインクなのだけど、今回はこの辺に留めておくことにします。

 肝心の書き心地は・・・うん。
 いかにもシュミットっぽい書き味。知ってる知ってる。
 太さはラベルには「ファイン」と書いてあったけど、国産のFじゃなくて海外のFなのもいつもの通り。
 書き慣れたOHTOの万年筆そのままの味で、ぶっちゃけダイソーや中華万とあまり変わりません。
 V36も形は違うけどシュミットなので、持ち替えとしては充分です。
 しかも雰囲気とか剛性感みたいなものはこちらの方がしっかりしているので、持ってて気分が上がるのはこちらでしょうか。

 総評。
 このアルミ丸軸万年筆は、誰にもお勧めできる完璧な万年筆だとは言いませんが、先に挙げた自分の欲しい万年筆の条件には完全に当てはまる優秀な万年筆だと思います。
 安くて実用的で汎用的な万年筆が欲しいのだけど、F-Lapaや中華はデザインがちょっとなぁって思う場合には良い選択肢になります。



 ちなみに、無印良品が販売するアルミ軸のペンには、こういうものもあります。

アルミポケット万年筆
ポケット?

 これも同じくOHTOのOEMですが、こっちはOHTOからもタッシェという名前でオリジナルモデルが出ています。

 タッシェでは塗装してあるものを、無印版はアルミ無垢にしてあるだけの違いですね。

 ・・・ごめんなさい。
 実はこれ万年筆じゃなくてゲルインクボールペンなんです。
アルミポケットゲルインクボールペン

 なぜ万年筆バージョンじゃなくてこっちを買ったかと言うと、理由はいくつか。

1, 万年筆はコンバーターが入らない。
 軸が短いので、いくらヨーロッパスタンダードでもコンバーターが入る余裕が無いのだそうです。
 つまりカートリッジ専用です。

2, 万年筆をポケッタブルにする必要なくね?
 筆記具の運用として、万年筆は腰を落ち着けて長文を書く際に用いるのに最適なペンです。
 アクティブなシーンでポケットに忍ばせて使い心地を無視していつでも使えるようにする意味って有りますかね?
 そんな時は普通にボールペンで良いんですよ。

3, リフィルがパーカータイプ。
 OHTOは国産メーカーにしては珍しく国際標準の互換性にこだわっています。
 このペンもパーカー互換のリフィルが入るので、同社Rays用の速乾性ゲルインクに変えてみたり、前回のジェットストリームを入れてみるのも面白いでしょう。

4, ボールペンバージョンは無印だけ。
 OHTOオリジナルのタッシェには万年筆とシャーペンのバージョンがありますが、そのバリアントであるボールペンバージョンは無印版にしかありません。
 いやレアもの狙いなマニアってわけじゃないんですけどね。

 ということで、携帯用小型ペンとしては万年筆より良さげな感じがしてボールペンにしてみたわけです。
 簡単に評価すると、まあ、ゲルインクボールペンとしてはここまでコンパクトになるのは他にあまり無いので、その点は良いかなと。

 ・・・ただね。
 コンパクトなボールペンだったらZEBRAのSL-F1 miniでいいんすよ。
SL-F1 mini とか
 なんでこんなに買っちゃったかなぁ。