まあ、つい勢いでとはいえ予告してしまったので、ヘッドホンなど音響機器のメンテ方法についてでも。
 ちょっと難解な用語などもすっ飛ばして書くので、専門的な知識がないとわかりにくいかも知れないけど、そこは後で聞くなり自分で調べるなりして下さい。
 興味なかったらスルーして下されば幸いです。


 まずヘッドホンを買って最初にすることは、「バーンイン」ですね。
 これは何をするかというと、一言で言えば「初期段階にエージングして馴染ませること」ですね。
 エージングとは何かというと・・・ググれ。
 そもそもエージングというものに意味が有るのか無いのかと賛否両論だったりするのだけど、やって損することはあまりないので、せっかくだからやっておけばいいじゃないですか。
 少なくとも設計開発サイドの人間は「有る」と言いますけどね。

 またある程度使っていると、ヘッドホンのドライバは帯磁します。
 磁力で駆動する機構である以上、それは避けられません。
 しかしコイルの磁化は駆動のストレスとなり、スムーズな再生の障害になって音質劣化の原因となります。
 まあ、帯磁するのもエージング(経年劣化)の一種と言えるので、それもそのヘッドホンの味だと受け止めても良いのですが、これは明らかに劣化の方向への変化なので、出来れば解消したいものです。
 これを解消するのが「デマグネタイジング(消磁)」です。
 バーンインが使い始めの一度だけ行えば良いのに対し、デマグネタイジングは月に一度程度の間隔で定期的に行なった方が良いでしょう。

 以下にそれらの具体的な方法。

 エージングは使っているウチに勝手に進むものなのだけど、バーンインでベストなコンディションまで持って行くのに長い時間がかかり、せっかく新しいオモチャを買ったのにすぐ使えないってのは面白くないので、なるべく早くを終わらせるために専用音源を用意します。
 巷にはバーンイン専用CDなども売ってますが、そんなものPCがあれば自分で作れます。

 エージングに最適な音は「ピンクノイズ」だと言われているので、これを再生出来れば何でも良いわけです。
 多分、一番使われているだろうフリーソフトは、このWaveGeneでしょう。
WaveGene
 これは実験用の音声波形を生成するためのソフトで、電子音なら大抵のものを作ることが出来ます。
 これでピンクノイズをWAVで出力して、iTunesで取り込んでAppleロスレスに変換して使います。
 もちろんWaveGeneからサウンドボードに出力して、直接ヘッドホンを駆動しても構わないのだけど、これはPCを立ち上げていないとダメなので、iPodなどDAPに入れた方が何かと使い勝手が良いのです。
 その際には出来るだけ可逆圧縮で入れましょう。
 MP3やAACなどの非可逆圧縮では波形が変化してしまう可能性があり、効率が落ちます。

 次に、デマグネタイジングの為の音源を作ります。
 一般的には「サイン波」が良いとされています。
 ・・・これって、なだらかに減衰する電圧で磁界を均一にならすってことなのかな?
 とりあえず私が使っているのは、20Hzから20kHzまで、つまり可聴領域全体を3分かけてスウィープする設定。

 これらを状況に応じて1曲リピートで再生させれば、それぞれの作業が完了します。
 バーンインの場合は、寝てる間や使ってない時間にピンクノイズをかけっぱなしにして丸2日間くらい。
 デマグネタイジングの場合は、サイン波スウィープを何回かリピートさせて数分。

 これでコンディションを整えると、ベストな状態で音楽を楽しむことが出来るでしょう。
 もし自分のお気に入りのヘッドホンが、どうも実力を出し切れていないなとか、何だか以前より籠もっているような気がしたら、思い出してみて下さい。

 ・・・まあ、要は「鰯の頭も信心から」ってやつですよ。
 やってもやらなくても変わらないのかも知れないけど、やっても悪いようにはならないのなら、やって良くなった「気がする」方が楽しめるってもんです。
 自分だってサイン波で消磁されるっていう理屈が良くわかってないけど、音が何となくクリアになるっていう「気がする」だけで満足ですわ。