最近買ったCD・・・とりあえずPunk編。
フィーバーは止まらない(初回限定盤) / Panic! At The Disco
エモパンクなんだけども、マシンビートやシンセ音なども積極的に導入していて、ダンスミュージック的な要素が加わって華やかになってる。
ていうか、パンク大好きだけどそれにこだわらずに「今の気分で作ったらこうなった」的な雰囲気で、賑やかで楽しい音が好感が持てる。
そう、確実に「今」の音なんだよね。恐らく5年後にはこの音は無いだろう。
バンド自体はその頃にはまた別の楽しい音で遊んでるか、さもなくば売れずに消滅してるかで、ともかく今このアルバムの音はやってないと思う。
音を楽しむという意味では、今確実に楽しいこのアルバムは正解なんだけども、音楽という物に恒久的に不変なる芸術性を求めるなら、このアルバムはどうなんだろうって感じ。
インフィニティ・オン・ハイ-星月夜 デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付) / Fall Out Boy
というわけでP!ATDの親分。
上のP!ATDがベースにしていたのはもろにFOBの音なんだけども、「お前らがそう来るなら俺たちはこうするぜ」的な回答になってる所が面白い。
FOBの音にP!ATDが追加したセンスを、更にFOBなりに料理してFOBの音として取り込んでる。
P!ATDでは微妙にまとまりに欠けていた部分(それも味だったけど)も、FOBはソリッドにまとめてあって、経験や力量というものを感じさせるね。
ただ、完璧なまでに「FOBの音」として完成されてしまってるのよ。
ぶっちゃけてしまうと、前作の延長上の物でしかなくなってる。
一曲一曲はそれぞれ良くできてて、FOBの音を期待していたファンには大満足の仕上がりなんだけど、前作のDance, Danceのような一発でガツンとくるキャッチーな曲が見受けられない。
パンクというジャンルは、最早アルバムという作品を見るのではなく、横の繋がりで評価する、ムーブメントを楽しむ物になってしまったのだろうか。
ザ・ブラック・パレード(初回限定盤) / My Chemical Romance
そこでマイケミ。
このアルバムはモンスターですよ。
恐らく作った本人たち自身が「とんでもない物を作ってしまった」と恐怖してるに違いない。
昨年末からずっと大ヒット中なので、音楽性について私が今更とやかく言うことはないね。
マイケミはこのアルバムによって凡百のパンクバンドから脱皮して次のステージに移行し、このアルバムはロック史の中に一つの足跡を残すことは間違いない。
だってこれもうパンクじゃないもの。ジャンル的に。
パンクは、ギターベースドラムボーカルの4ピースのみ(マイケミはツインギターだけども)によって演奏される、ある意味ミニマムな構成の音楽なのね。
それは、宇宙の全てを五七五のたった17音で表現する俳句のような、わびさびにも通じる精神なんですよ。
だけどマイケミは今回のアルバムで4ピースという足枷を外し、オーバーダブやサポート楽器を取り入れて、自分たちのみではライブで再現し得なくなってもアルバムの世界を作り上げることを優先させた。
そのおかげで、5年後にも変わらずに評価され、ムーブメントにも流されない作品が出来上がったというわけですよ。
ただ問題は、素晴らしいアルバムを作ってしまったバンドは、その次のアルバムで重荷になるということ。
当然次のアルバムは今作を超えることが期待されるんだけど、大抵の場合は超えられなくて評価を落とすか、別路線に移行して逃げるか。
まあ、少なくともあと2年は出ないだろうから、それまでこのアルバムをしゃぶり尽くすことにしようかな。